2012年5月30日水曜日

SAAPモービル運用(DPRS i-gateを持ち歩く)

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ここでご紹介している D-STAR ネットワークへの接続ツール(各種ノード・DVAPなど)の運用においては 免許申請について(安田OMサイト)をご参照ください。 (2013年8月 ガイドラインが示されました。)

 SAAPが完成し自宅での運用が落ち着いてきたので、DPRSの範囲を一挙に広げようとモバイル仕様にカスタマイズしてみた。 (要モバイルWi-Fi環境)
 車に取り付ける前提で、ケースは1DINの小物入れ (AUTOBACKS FREEBOX PA-34)を車屋さんで仕入れてきた。 また、フロントパネル用にブラウンのアクリ板(アクリサンデー社 スモークブラウン550 2mm厚 180x320mm)を使用し、 基盤を積層するため、アルミ板(0.5mm厚)でシャシも作成する。
 なお、液晶はバックライト付き(千石電商ブルーバック白文字:800円)に変更した。その他はUSBケーブル、LANケーブルなどの廃材を利用。
 図面をアルミ板にテープで貼り付け、 昔ながらにカーボン・コピーする。0.5mm厚ならそのままハサミでカットできる。 M3x6mmのビスを使用するので3.5φ程度の穴を開けてから、寸法どおりに折り曲げる。
 このとき、下段のステーはビスを下から差し込み、上でナットを掛ける必要が有るので、折り曲げのとき差し込んでおくと良い。
 さらに、図面どおりだとパーツに干渉したりショートしそうな所は少しカットしておくようにする。
 基板を仮付けしてみて、不具合がないか確認しておく。この状態で実際にケースに入れてみて形状修正もしておく。 また、4個のLED用の穴も位置決めをしてケースに開けておく。LEDを実測して太さを合わせる。
 シャシをケースに固定するビス穴は、LEDを穴に通した後、現物あわせで罫書いて穴開けする。 (実は、曲げ加工の微妙さ故に私はビス留めを必要としなかった)
 これが、オートバックスブランドのワンDIN小物入れである。入れてみて分かったのだが、 もう0.5ミリケースが浅かったらpci MZK-RP150N無線LANコンバータはリセットボタンが押されたままになるところであった。
 また、この部分は受信感度・放熱の理由で外付けする手もある。(完成後、調整を要するかも知れない。)

 このパーツは自作必須アイテムである。
USBケーブルのAプラグ=Bプラグ」を解体して極小ケーブルを作る。
コネクターの金属部分だけにして左図のとおり配線した上でテーピングする程度で良い。 (実はこれでも、LANコネクターと接触している) =色分けは線色=
 6ピンDINケーブルも同様の理由でカバー無し(融着テープで絶縁)。
 Wi-Fiルータ用に10cm位のフラットなLANケーブルも作成する。
 ケースから出した状態でコンバータモードに設定中のWi-fiルータ。
USBタイプのWi-Fiルータは多数存在するが、今回のようにUSBポートが使用済みでLANポート(RJ45)しか無い場合に使用でき、 Wi-Fi親機側(携帯会社のデータ端末)で設定したサブネットのIPアドレスがコンバータを経由して目的の機器(今回はSAAP)に振られる。
 今回はWEBコントローラでSAAPにアクセスする、立ち上げを速くする(期待)などの理由でSAAP側には、コンバータのDHCP範囲外の固定IPアドレスを振った。
 ケース全面に液晶ディスプレイを取り付けるための加工をする。 ケーブル先端のコネクターが堅めに固定されるくらいに仕上げると、ディスプレイ固定用のビスを省ける。

 電源部は、この三端子DC/DCコンバータ(ROHM BP5275-50)のみ。入力6~14Vで5.0V/500mAを出力する。
 この電源部の適当なところから、Wi-Fiコンバータ用の5Vを取る。microUSBは左図のような配線になっているので赤・黒の電源ライン以外は取り除きコンパクトにする。
 同様に、マザーボード裏面のリセットボタン端子から、前面パネル取付のリセットボタンへの配線をしておく。 少し長目の方が後々のメンテナンス性に優れる。

 このリセットボタンは、Wi-FiコンバータのIPアドレス取得よりSAAPの方が早く立ち上がるなどの現象が起こるため多用することになる。
 PIC32をコネクタから外した状態のSAAPマザーボード、ノードアダプタの順にビス留めした上でPIC32をコネクタに押し込む。

 押し込むという表現が最も適当であると思えるくらい・・・シャシ固定用ビスは使用しないことにした。 ただノードアダプタの4個のLEDは取付時注意を要する。
 12V電源用のプラグは、L型でもギリギリなので市販のプラグを分解して、半田付けしたところからL型に折り曲げて絶縁した。 SAAP用のFM無線機のT型コネクタ分から分岐してヒューズは共通とした。
 データ端子からのDIN 6ピンケーブルもケース外側で一旦RJ45延長用アダプタ(8ピンまで可)を使ってフラットケーブルに変換した。(穴さえ大きくすればその必要なし) また、ディスプレイが落ち着かないようならコネクターの無い方だけでも一箇所タッピングビスで固定すれば充分である。

 これで内蔵品はすべて取付完了である。
 すこし、見栄えを良くする。
アクリルをワンDIN幅にカッターで切り出し、引き出しの寸法と液晶ディスプレイの出っ張りに合わせて、折り曲げ線と高さ線を罫書く。 少し高めにカットしておき後で削って微調整すると良い。曲げ部は専用のヒーターが有ると便利だが6、7千円するので四角いホットプレートなどが有れば代用できる。 余り熱いと、曲がるようになるまでに溶けてしまうので調整を要する。(二度曲げはできない。一発勝負)
 コーナーを現物あわせで成型(ヤスリがけ)し、リセットボタンを瞬間接着剤などで固定する。ギリギリの穴に突っ込めば接着せず奇麗に仕上がる。
 また、写真は加工前だが、カバー左右両端に下図のようなステーに固定するねじ穴を開ける。 これは、ステーを作ってから現物あわせで穴開けした方がビスもスムーズに通り、見た目もすっきりできあがる。
 カバーの内径より1mmほど小さめのアクリ板を直角に折り曲げたものを2個作る。 私の場合は高さ15mm、つばの部分10mmにして、カバーを取り付けたときバランスよく見える位置に2個ビス穴を開ける。
 ステーをケースに瞬間接着剤で固定する。これで十分な強度を持っている。 左右同様に固定したら、リセットスイッチに配線を半田付けし、そのカバーを被せビス4本で固定する。
 接続テスト中の機器類。REF047に全ポートワッチ状態で接続している。 また、WEBコントローラ(ブラウザーでSAAPのIPアドレスにアクセス)はスマートフォンでアクセスでき、APRSメッセージもこのWEBから送信できる。 さらに、受けたメッセージは無線機の画面に流れると共に、指定したメールアドレスに転送され、このスマートフォン(携帯もOK)で確認出来る。
 さて、いよいよ車に取り付ける。最近の車はボルトも全く無し、至って簡単にインパネが外せる。 黄色丸印が大きめのノッチ、矢印のような小さなのがスピードメータの周りにも数カ所有ったが、左下コーナーを一箇所ちょっとこじ開けたら簡単に外せた。
 取り出した純正CDラジオとポケット。このポケットをSAAPを組み込んだポケットに交換するだけ。
 インパネを元に戻す前に、もう一度接続テスト。このままDPRSプロットテストも・・・。

 この日は大成功に喜んだのであるが、翌日から二日続いて2つのトラブルに遭遇。詳細はモバイルSAAPトラブル編で!!

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2012年5月8日火曜日

DV DongleとDVAPでのWinDV設定の違い(備忘録)

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DV DongleとDVAPをWinDVで使用するときの設定とその違いについて備忘録として記す。
DVAP/DVToolとWinDV併用時の
USBドライバトラブル(別記)
[Tools]の[Options]
CallsignはAA4RC Callsign Serverに登録されている必要が有る。 国内でそれを達成するには、使用する機器コードを設定した無線機にてゲート越えで交信を成立させる (カーチャンクではダメ)
Serial#は「HARDWARE」を選択。 DV Dongleでは「STANDARD」でも使用できるが、Type表示が「HotSpot」になる。またDVAPでは接続できない。
[Tools]の[Settings]
Enable audible voice prompts.はDVAPにおいては、 離れたところで使用するとき音声によって「リンク」「アンリンク」等を教えてくれる。
Automatically connect to gateway on startupは前回使用した所へ自動接続する。 Use QT1は上記設定の上、接続先をQuickTune1に指定する。 Allow LINK/UNLINK commands on RF.は無線機を使って接続をコントロール出来る。 このコントロールが出来る局、制限する局なども設定できる。
アクセスポイントとして稼働するDVAPはEnable RF Access Filterで使える人と制限する人をフィルタリングできる。

その他の設定は、とりあえず図のとおりでまず接続してみて、使用した上で調整する。
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2012年5月7日月曜日

国内リピータ+JPlus にDV Dongle を接続する

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ここでご紹介している,「国内リピータ+JPlus」は実験を一旦停止致しました。 したがって現在接続して戴くことが出来ませんが投稿の内容としては他の参考にして戴けることもあろうかと思われますので継続掲載させて戴きます。 (2014/03/10)

 このDV Dongle(青箱とか青ドングルとも言われています)は、パソコンにUSB接続し、専用のソフトウェア(DVTool)で国内のリフレクタ(REF008、REF047)や 海外の沢山あるリピータ/リフレクタに直接インターネット接続し、文字通り世界中をワッチしたり、交信したり出来る機器です。 マイクスピーカーはパソコン用のヘッドセットなどが使えます。
 そこで、国内のリピータにインターネットで直接接続を可能にするために、「JPlus」というソフトウェアが開発されています。 これをD-Starリピータのゲートウェイ・パソコンにインストールするだけで、電波が届かない不感地帯からでもインターネットで接続して、 後は、通常通り山掛けをしたりゲート越えをしたりして楽しめます。
 今回の接続では、DV Dongle標準の「DVTool」は使えません。理由は接続の為のデータ、リフレクタ/リピータ名とグローバルIPアドレスのリストが公開されていないため、 公開を前提としている「DVTool」が使えないのです。(もちろん公開されている場合は今回の処方は不要です。)
 使用するソフト「WinDV」は別のグループが開発したものですが、DV Dongleをサポートしています。 また、公開されていないアドレスについては、ファイルに記載することによって接続することが可能です。
  1. 編集するファイル
  2. C:\Program Files\
    MicroWalt Corporation\WinDV\dphost.txt

  3. 編集する内容
  4. ファイルをダブルクリックするとメモ帳が立ち上がります。図のように「Gateways」の項目に接続したいリピータのアドレスを設定します。
    #Gateways
    JR3WZ⑥⑦jr3wz.dyndns.org

    1文字目から7文字目までにリピータのコールサイン、8文字目以降に固定IPアドレスまたはダイナミックDNS名を記入します。
    DVToolではシステム上固定IPアドレスしか扱えませんがWinDVでは、ダイナミックDNSを使った名前の解決が可能です。
  5. WinDVでの登録
  6. 今回は標準で指定出来ないアドレスの設定にとどめ、WinDVのインストール接続設定等は割愛します。(参照:標準的なWinDVの設定
    WinDVはDUTCH*Starからダウンロードできます。(要入会)
    画面下部に位置する[Gateway]ボタンを押して、リピータを指定することも出来ますが、今回は「QuickTune Panel」と言うものに登録します。

    まず、メニューバーの[View]よりドロップダウンメニューを開け、[Show QuickTune Panel]にチェックしておきます。

    メニュー隣の[Tools]より[Edit QuickTunes]を選択します。

    登録したい箇所の[Configure]ボタンをクリックします。

    <<MEMO>>
    RF(リピータを無線機で利用する)側の設定は
    My =My Call
    RPT2=JR3WZ G(5文字+スペース2つに注意)
    RPT1=JR3WZ A(空白でも可)
    UR =CQCQCQ
    のようにします。ゲートウェイPCまでは信号が
    行くが、ゲート越えはしないと言う意味になり
    ます。ID-31などはマニュアル操作ではRPTの
    設定は出来ないのでメモリーしておくと良いで
    しょう
    「Gateway Selection」ダイアログボックスが表示されます。

    [JR3WZ]を選択し、モジュールを接続先の条件に合わせ選択します。 JR3WZはA~Eに対応しています。(現在は開発テスト稼動ですので繋がらないこともあります) Aモジュールは、70cmバンドD-StarリピータですのでRF側が、rpt2=JR3WZ G の設定をしていれば話せます。

    Auto-reconnect after disconnect]にチェックしておくと切断されても再接続します。

    DPlus]が選択され、[Connect as Dongle, else as Hotspot]にチェックされているのを確認して[SAVE]します。
    あとは、必要なだけ登録を繰り返し[SAVE][Close]すればQuickTuneの登録が完成です。

    必要な、QuickTune ボタンを押した上で、最下部の[Connect]をクリックすれば接続します。
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2012年5月3日木曜日

SAAP(Stand Alone Access Point)を作る=DPRS編= 付録「DPRS i-gateを持ち歩く」

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前回の「コントロール編」から追加になった機能の紹介編である。
  • 大まかにメニューの変更を紹介すると、まず[Current Status]が上に移動し、運用に使用しやすくなった。
  • 今までのメニューは[+SAAP Setting]と[+Node Adapter Setting]の2つに分類され階層化された。
  • [+SAAP Setting]の中に、[Reboot]が追加され、基板上のボタンを押さなくとも(例えばリモートでも)リセット出来るようになった。
  • それと大きな変化は、「DPRSにカーチャンクを気にせずアクセスできる」ことと、「APRSメッセージを送受信できる」ことである。
  1. DPRS Configuration

  2. ・まずDPRSを有効にして、 「Server IPPort」 「Callsignバリデーションコード(別途取得した認証番号)」を入力する。
    ・[D-STAR ID]は通常インターネットへのゲートウェイとして「I」を用いる。
    ・[Alt.Msg.SSID]には、メッセージを送信するときに使用したいSSIDを記入する。 この結果後述の送信画面で「JE3HCZ-M」が選択可能となる。
    ・[Accept from Radio]はID-31のように、GPSデータ(GPS-A)の送信可能な無線機の位置情報を受け付ける。
    ・[Accept from Inet]はインターネット側からのGPSデータを受け付ける。 APRSメッセージはこの設定とは無関係に受け付けるので、通常はチェックを外しておく。 チェックしているとリフレクタなどに接続したとき他の局のGPSデータを受け付けることになる。
    ・[Auto. Link]は文字どおりSAAP起動時サーバーに自動接続する。
    ・[Auto.Relink]これはドイツの局からの要望で取り入れられたもので、 24時間毎にプロバイダーからリースされたグローバルアドレスが振り直されるらしい。 したがって、接続が切れやすい環境では日本でも利用できる。
    ・[Client ID]上記の[コールサイン]と[D-STAR ID]から生成された「JE3HCZ-I」がクライアントIDである。 ここにチェックすると、 DPRSのゲートウェイであるシンボル<D>とクライアントIDが「aprs.fi」上に表示される。
    ・[Latitude][Longitudeaprs.fiの右ペイン中段にある「他の見方」のカスタマイズをクリック、 表示されたダイアログボックスの[単位と時間]タグを開けて、 [位置表示フォーマット]を「小数点表示」に設定する。 この状態で特定の場所をマウスポイントすると、左上部に北緯・経度が小数点表示されるので、そのまま入力出来る。
    ・[Comment]クライアントIDが表示されたとき、明細に表示される。
    ・[Interval]クライアントIDを表示し続ける時間を設定する。
    ・[SMTP Server]APRSメッセージをEメールとして指定したアドレスへ転送する。 この時の契約プロバイダーの送信サーバを設定する。
    ・[Port]通常は「25」であるが、認証サーバーを使用しているときは「587」を入力し、 以下に認証用アカウントを設定する。
    ・[User][Password] 設定が終わったら[Save]ボタンを押して終了する。これらの設定はテキストファイル「DPRSSET.TXT」に保存される。

  3. APRS Msg. Control

  4. ・[Callsign]「コントロール編」の「初期インストールファイル」に有った「CALLSIGN.TXT」の用法を参照。 そこで述べてある「ALLOW」の設定をここに入力する。図のJE3HCZ*はSSIDが何であったもの意味になる。
    ・[RF]に「ON」と入力すると、APRSメッセージがSAAP配下の無線機へ送信される。
    ・[E-mail address]「DPRS Configuration」の「SMTP Server」で設定した送信サーバーから、 APRSメッセージが送信される宛先のアドレスを設定する。 もちろん送信サーバーと一対になっている同プロバイダーのアドレスでも良いが、 全く違うISPのアドレスでも、受信可能ならOKである。
    ボタンをクリックすることにより[削除][挿入][編集][追加]が出来る。

  5. APRS Message Send

  6. ・[Sender Callsign] (1)で設定した[Callsign]+[D-STAR ID]または、[Callsign]+[Alt.Msg.SSID]のどちらかが選択できる。
    ・[Destination]メッセージの送り先である。 例えばスマートフォンにJE3HCZ-5を設定してあるとすると相互に通信テストできる。
    ・[Message]メッセージ本文を入力。アルファベット、数字、一部の記号のみ使用できる。
    ・[Send]で送信。
    ・[Clear]で入力文字をクリア。
    ・[Refresh]を送信後5秒ほどして押すことによって
    ・[Ack Received]にチェックが入れば相手が受信したと言うことである。
    ・[Last Recv.Mes.Info]の2行には直近の受信メッセージが表示される。

    さらに、この直近の受信メッセージは[Current Status]にも表示されるようになった。
    ・[APRS Server]行にはサーバへの[Link][Unlink]ボタンと、 aprs.fiへのリンクが追加されている。
このようにはがき大のケースに収まってしまう基盤の組み合わせで、 DPRS とAPRS の変換やメッセージのやりとりが出来てしまうと言うのは大きな変革だと思う。 APRS素人であった私にとっても、非常に勉強になった。 しかし過去から営々と積み重ねられてきたAPRSのシステムはいろいろな工夫や配慮の上に成り立っている。 DPRSは、その仕組みを利用させてもらって成り立っているのも事実である。 OM諸氏に尋ねるなり、WEBで調べるなり勉強の欠かせないところである。

今回の記事を書いている間に、SAAPはバージョン00.28になりました。次は、さらに大きな接続オプションの変更がなされるようである。乞うご期待。

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